Piphiker EA 海外製EA情報

『Piphiker EA』の検証とレビュー

『Piphiker EA』評価

『Piphiker EA

収益性:(4.0)

安定性:(2.0)

信頼性:(1.0)

総合評価

(1.0)※※ SCAM警報 ※※

 

前置きと謝辞

実は今回、非常にありがたいことに、『Piphiker EA』をレビューしてほしいというリクエストを、読者の方から頂いた

この場をお借りして、リクエストを頂いてから記事を仕上げるまでに時間が掛かってしまったことをお詫びするとともに、いつもご利用くださる皆様に改めて感謝申し上げたい。

 

『Piphiker EA』基本情報

  • 【取引通貨ペア】: 全種類

対応が確認されている通貨ペア

豪ドル/NZドル(AUDNZD)

● ユーロ/米ドル(EURUSD)

英ポンド/豪ドル(GBPAUD)

英ポンド/円(GBPJPY)

  • 【スタイル】: デイトレード ~ スイングトレード
  • 【販売価格】: 299 ~ 449ドル(返金保証サービスなし)
  • 【最低入金額】: 1,000ドル
  • 【推奨入金額】: 1,000ドル / 通貨ペア
  • 【推奨時間足】: 1分足(M1)
  • 【推奨レバレッジ倍率】: 1 : 400

製品の公式サイトによると、『Piphiker EA』は any pair(あらゆる通貨ペア)” を取引することが可能とのこと。一方で、具体的な推奨通貨ペアについては、残念ながら一切の言及が見られない。

 

なお、上掲の表内に記載してある四種類の通貨ペアは、公式フォワードテストの成績データ内で「実際に取引された履歴の確認された通貨ペア」となる。

公式に明言されている訳ではないが、上記四つの通貨ペアが、実質的な「推奨通貨ペア」だと見て良さそうだ。

 

また、ポジションの平均保有時間は「3.2日間」となっており、取引履歴に確認できた範囲では、基本的に「数十時間から数日間」、長い時には「一週間」前後ほどポジションを保有している。

詳しくは改めて後述するが、グリッドトレードを基本戦略に据えているだけあって、一回の取引を比較的に時間をかけて行う傾向が強く、EAの分類としては、「デイトレード寄りのスイングトレード系EA」と言えるだろう。

 

そのほか、最低入金額については「1,000ドル」、推奨入金額については「一つの通貨ペアにつき1,000ドル」とのこと。

1,000ドルにつき二つ以上の通貨ペアで取引することも可能ではあるようだが、「取引におけるリスクを引き上げる行為」だとして注意が喚起されている。

 

ちなみに、『Piphiker EA』の運用においては、チャートの時間足を「1分足(M1)」に設定し、実行レバレッジ倍率については「1 : 400」に設定することが、公式に推奨されているようだ。

 

メンバーシップの特徴

メンバーシップ
価格 299ドル 399ドル 449ドル
利用可能なリアル口座数 最大1つまで(※) 最大2つまで(※) 最大3つまで(※)
利用可能なデモ口座数 最大1つまで(※) 最大2つまで(※) 最大3つまで(※)
返金保証サービス なし(※非対応)
無償アップデート保証 無期限
ユーザーサポート 24時間 & 年中無休
対応プラットフォーム MT4

 

なお、『Piphiker EA』には、三種類のメンバーシップが用意されており、価格設定と「利用可能なリアルおよびデモ口座数」を除けば、すべて仕様は共通となっている。

また、ライセンスと取引口座との紐付けについては、その詳細が明らかにされていないため確証は得られていないが、EAファイルの入手方法から察するに、おそらく各メンバーシップに設定されている利用可能な口座の最大数は「リアル口座とデモ口座を合わせた数」だと考えてよいだろう。

 

ちなみに、EAファイルの入手方法ついてだが、「購入後に公式サポートに口座番号をメールで送付すると、通常は数時間程度でEAファイルの添付されたメールが返信される」という昔ながらの方法が採られている。

 

そして、ある意味では最大の特徴であり、同時に最大の問題点でもあるのだが、この『Piphiker EA』には、「返金保証サービス」が用意されていない

「かなり厳しい条件が設定されているせいで、実質的に利用するのが不可能に近い」という生ぬるい話ではなく、We do not refund the purchase amount(購入代金の返金はいたしません)” という断り文句が、公式サイト上ではっきりと明言されている。

 

条件の内容に差異はあれど、今や大半の海外製EAが当たり前に提供している「返金保証」を、それもつい最近に登場したばかりの製品が提供していないというのは、中々に衝撃的だ。

“ユーザーからは決して望まれない形で“ でしかないが、競合製品との差別化はしっかりと図れていると言えるだろう。

 

その他の項目については、他の多くの競合製品と同様の内容を謳っており、特筆すべき点は見当たらないように思われる。

 

 

『Piphiker EA』の特徴

「公式サイトを何度読み返そうとも、中身のある情報がほとんど何も得られない」という空しい存在には、レビューや検証といった作業を生業にしているとまま遭遇するものだが、残念ながら『Piphiker EA』も、その “お仲間” だったようだ。

とは言え、流石に幾つかの情報は辛うじて読み取ることができたため、以下にその貴重な情報を共有したいと思う。

 

「グリッドトレード」と「ヘッジトレード」を主軸に据えた戦略

上掲の画像のうち最初の三行だけが公式サイトを通じて得られる情報のほぼすべてなのだが、その僅かな情報の中で、このEAが「グリッドトレード」と「ヘッジ(両建て)トレード」を主軸に据えた戦略を採用していることが明らかにされている。

どうやら「グリッドトレードという手法に付きまとう根本的かつ構造的なリスクを、ヘッジトレードと組み合わせて実行することで減衰または相殺しよう」という設計思想に基づいて開発されているようだ。

 

また、建てられるポジションにはストップロス値が自動的に設定されることになる一方で、グリッドトレードにおけるポジション追加を妨げないよう、その値はかなり “遠い” 価格に設定されるとのこと。

なお、グリッドトレードの起点となる最初に建てられるポジションのロットサイズは、「0.01ロット」となるように設定されていることも、明らかにされている。

 

「RSI」と「MACD」を利用してエントリーポイントを選定

『Piphiker EA』の販売元であるiForexRobot社の公式サイト上に公開されている同EAの紹介文によると、『Piphiker EA』はエントリーするタイミングの選定に、「RSI」および「MACD」インジケーターを利用しているとのこと。

製品の公式サイト上には、「複数のインジケーターから得たデータに基づいて、エントリーを実行する」とだけしか書かれていないのだが、販売元によってその詳細について補足される形となった。

 

なお、「両方のインジーターが条件を満たした場合に取引が実行される」らしいのだが、流石に詳細な仕様や条件についてまでは明らかにされていない。

 

平均月利「10%」の達成を公約

「収益性」という観点は、EAを語る上では決して外すことのできない重要な要素だと言えるが、その点について『Piphiker EA』は、月利で平均「10%」の収益性を実現することを大々的に歌っている。

より厳密に言えば、月利「7~12%」の実現を公約しているのだが、この数字はデフォルト設定のまま運用した場合の期待値ということのようだ。

 

なお、公開されている公式フォワードテストの成績を見る限りでは、各月の月利は「5~20%」前後となっており “公称値” との開きが見られるが、本稿作成の時点における累計での平均月利は、約「11%」と公称値にかなり近い値を示している。

ひとまず収益性に関しては、「看板に偽りなし」だと言えそうだ。

 

あらゆる通貨ペアでの取引に対応

『Piphiker EA』が「あらゆる通貨ペアに対応」しており、推奨通貨ペアについては情報が明らかにされていないは先に述べた通りだが、この件についても、iForexRobot社の製品紹介ページ上に再び “補足情報” を確認できる。

曰く、「ユーロ/米ドル(EURUSD)」、「英ポンド/円(GBPJPY)」および「豪ドル/NZドル(AUDNZD)」の三種類が、“the most used currency pairs(最も良く取引される通貨ペア)” だとのこと。

 

この三種類は、実際に公式フォワードテストの成績データ上にも取引履歴が確認されていることを加味しても、公言されていないだけで、『Piphiker EA』における「実質的かつ真の推奨通貨ペア」だと考えて良いだろう。

 

なお、同じく過去に取引された履歴はあるものの、唯一iForexRobot社による “推薦” からは外されてしまった「英ポンド/豪ドル(GBPAUD)」

最新の成績データを見る限りでは、既に現在は取引が行われていないところを見るに、どうやら既に「推奨通貨ペア」の座からは降ろされてしまっていると見て良さそうだ。

 

 

『Piphiker EA』の成績

当サイトで紹介しているEAの中では『Forex Gump EA』と同様、『Piphiker EA』もMyfxbookではなくFX Blue上にのみ公式フォワードテストの成績を公開している。今回に関しても、そのデータを参考にしながらレビューを進めていくことにしたい。

まず、いつも通り「収益性」について見ていくことにするが、丁度ほぼ丸一年間という運用期間を経て通算利益は「269.2%」、平均月利は「11.3%」に到達。累積損益の推移を示す資産曲線の形にも、一定以上の利益を安定したペースで積み重ねてきた様子が見て取れる。

 

 

また、EAの世界においては、「運用開始の直後に一気に成績を伸ばし、運用期間が長くなるにつれて徐々に成績を落としていく」という現象が起こりがちだが、『Piphiker EA』に関して言えば、その例に当て嵌まらない。

各月における資産成長率が「5~20%」前後となっているのは先に触れた通りだが、月度および年度別成績を見ても分かるように、運用開始の直後から「成績の良い月」と「成績の悪い月」が、比較的に偏りなく入れ替わるようにして訪れている。

 

そのため、「徐々に勢いを落としていった結果、成績が現在の水準に達した」という訳ではなく、「常に一定の範囲内で好不調の波に揺られてきた結果、成績は現在の水準で落ち着いている」と言った方が、より正しく『Piphiker EA』の在り方を捉えていると言えるだろう。

「成長率」だけでなく、「pips」と「金額」の観点から見ると、そのことをより強く実感できるに違いない。

 

『Piphiker EA』の実績

回数 通算利益 最大DD 平均月利 通算勝率 PF
初レビュ―時 269.20% 64.8% 11.3% 73% 1.73
前回比
累計 ±0.0% ±0.0%
±0.0% ±0.0% ±0.0%
回数 損益(pips) 損益(金額)
初レビュ―時
前回比
累計 ±0.0 pips ±0.0 ユーロ

 

また、プロフィットファクター(PF)や通算勝率についても、“高すぎもせず、低すぎずもない” という絶妙な成績となっており、収益性に関して言えば、十分に及第点を与えても良さそうだ。

 

一方で、「安定性」という観点に光を当てると、途端に先ほどまでの順風満帆な印象から一転、不安や警戒を掻き立てられることとなるだろう。

最大ドローダウン値は「50%」の “壁” を優に超え、既に「60%」の大台にまで乗っており、お世辞にも「安全圏にある」とは言えない状況にある。

 

赤い曲線が「有効証拠金」の推移を示している

 

幸い、本稿作成の時点においては、含み損はかなり小さく絞んでいるようだが、取引履歴を見る限りでは、運用開始から今日に至るまで、不定期かつ突発的に含み損を大きく膨れ上がらせてきているようだ。

この不安定さは、グリッドトレードを戦略の主軸に据えている時点で覚悟せざるを得ない “不可避の代償” のようなものであり、如何にヘッジトレードでリスク分散を図ろうとも、完全に抑えることのできるものではないと言えるだろう。

 

『Piphiker EA』の月度別成績

2019年
 成長率(%) pips  金額(EUR)
1月 +7.0 +307.7 +140.12
2月 +15.9 +816.3 +340.11
3月 +22.0 -1,839.3 +460.01
4月 +11.2 +270.7 +284.52
5月 +3.9 -287.9 +133.19
6月 +4.9 -505.5 +178.27
7月 +5.0 +175.3 +189.41
8月
9月
10月
11月
12月
累計 +69.90 % -1,062.7 pips +1,725.63 EUR

※EUR =ユーロ

『Piphiker EA』の年度別成績(※クリックで展開)

2018年
 成長率(%) pips  金額(EUR)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月 +5.3 +287.8 +92.24
9月 +21.1 +825.4 +378.54
10月 +20.2 +1,765.5 +386.97
11月 +13.1 -310.7 +466.56
12月 +2.1 -1,460.2 +90.45
累計 +61.80 % +1,107.8 pips +1,414.76 EUR

 

ちなみに、口座残高あるいは有効証拠金の推移を示したグラフを見ると、昨年末に残高が一時的に “消滅” していることにすぐに気が付くはずだ。

残念ながら現在の公式フォワードテストにおいては、取引履歴に関するデータが公開されていないため詳細を確認することはできないが、累計損益のグラフにおいて同時期に大きな “谷間” が存在していないところを見ても、単純に証拠金が出金されただけと見て良いだろう。

 

 

『Piphiker EA』の信頼性

実に嘆かわしいことではあるが、世の中に常に悪意を持った連中が入れ代わり立ち代わり登場してくることを止められない以上、「SCAM(詐欺商材)」かどうかを正確に見極めること以外に、自衛を図る方法はないと言えるだろう。

「君子危うきに近寄らず」とはよく言ったものだが、ここでは敢えて近づき、真贋のほどを正しく見極めることにしたい。

 

公式サイト上に公開されている情報量が少なすぎる

ページ全体の三割近い面積を占めるトップ画像

『Piphiker EA』の信頼性について思うところは数多くあるが、やはり何を差し置いてでも、「公式サイト上に公開されている情報量の少なさ」を指摘しない訳にはいかない。

 

あくまでも一般論として、その製品がSCAM(詐欺商材)だった場合、公式サイトは過剰な美辞麗句と膨大な宣伝文句で溢れ返るか、逆にまともな情報をまったく得られない空虚な造りになりがちだ。

情報量が少ないからと言って、それがそのまま「SCAM(詐欺商材)であることの証明」ということには決してならないが、情報量などを含めた公式サイトの “造り” は、「製品の信頼性を推し量る目安の一つ」とはなり得ると言えるだろう。

 

『Piphiker EA』について言えば、一見するとそれなりに情報が提供されているかのように見えなくもないが、実際はEAやFX取引における一般知識のような “余分な” 情報が多く紛れ込まされており、EA自身の仕様や機能に関する “重要な” 情報は、残念なほどに少ない

「推奨通貨ペア」や「ロジックに組み込まれいるインジケーターの種類」といった非常に重要な情報についてさえ、前述したiForexRobot社の製品紹介ページによって補足されなければ知り得ない現状には、流石に問題があると言えるだろう。

 

無論、「公式サイト上の情報量は乏しくとも優良かつ優秀なEAは存在する」という意見には全面的に賛成するが、その手の製品は「必要最低限の重要な内容のみに絞って情報を公開した結果、公式サイトも寂しい造りになってしまっている」という場合が大半だ。

少なくとも『Piphiker EA』の公式サイトを見る限りでは、と結論付けざるを得ない。

 

公式サイトの造りに、非常に雑な部分が目立つ

「ボタンのリンク先」と「表示されている成績データのページ」とが異なっている

公式サイトの造りの質が、製品の信頼性を測る一つの目安となることは前述した通りだが、『Piphiker EA』の公式サイトについて評価を下すならば、その造りは全体的にかなり甘く、一部については「お粗末」と言わざるを得ないものとなっている。

 

例えば、サイト上には、FX Blue上で公開されている公式フォワードテストの成績ページへと移動できるボタンが設定されているのだが、そのボタンのリンク設定が間違っているため、ボタンをクリックすると別の成績ページに飛ばされてしまう

飛ばされた先の成績ページも、一応は『Piphiker EA』の成績データではあるらしいものの、既に今年五月末を以て打ち切られている模様。終了の理由が、成績の悪化によるものではなく、何らかの理由による「証拠金の全額出金」なのは、せめてもの救いだろう。

 

既に終了している「元」公式フォワードテストの成績データ

 

さらに、製品の公式サイトとしては致命的なことには、本稿作成の時点では公式サイトを通じて『Piphiker EA』を購入することは不可能となっている

 

より具体的に状況を説明すると、公式サイト上にある購入ボタンをクリックすると、『Piphiker EA』が利用している販売プラットフォームの「購入手続きページ」へと移動するのだが、そのページにおいてエラーが発生しているために、購入手続きを進められないのだ。

表示されているメッセージによると、要するに「販売プラットフォームへの製品登録が正常に完了していない」ことが、エラーの原因とのこと。

 

購入ページに移動しても、エラーの発生により購入が不可能

 

確認されているだけでも既に三日間以上はこの状態が続いており、まさか「初めてエラーの発生を確認した日が、初めてエラーが発生した日」とは考え難いので、実際にはもっと前からこの状態に陥っていたものと推察される

エラーの発生に気付いていないのならば「管理がずさん」だと言わざるを得ないし、気付いたまま放置しているのだとすれば、それはそれで悪質だと言わざるを得ない。

 

いずれにせよ、この “造りの甘さ” が、信頼性を評価する上では大きな減点対象となることに異論を挟む余地はないだろう。

 

口コミやレビューの数が少ない

実際にEAを使用したユーザーによるレビューや口コミは、EAの信頼性を探る上でかなり重要な手掛かりになる訳だが、残念ながらと言うべきかやはりと言うべきか、『Piphiker EA』に寄せられているレビューや口コミの数は、少ない

しかも、その数少ない貴重なレビューや口コミの多くが、同EAに対して否定的な色を示している始末だ。

 

なお、口コミやレビューの単純な数だけについて言えば、製品の発売された時期や知名度などにも大きく影響され得るだろうが、その評価の良し悪しに関しては、純粋にEAの実力が大きく反映されると言えるだろう。

一応、『Piphiker EA』を高く評価するレビューも少ないながら散見されるが、そのほとんどがiForexRobot社の製品紹介ページ上に寄せられたものであり、他の多くのレビューと評価が乖離していることから、いわゆる「サクラ」である可能性を考慮した方が良さそうだ。

 

販売元の煽り文句が嘘くさい

『Piphiker EA』に関する口コミやレビューといった情報がインターネット上にほとんど見つからないことは既に述べた通りであり、実際に検索してもらえれば、それが嘘ではないことを理解してもらえるはずだ。

 

そういった状況にもかかわらず、iForexRobot社は同社の製品紹介ページ上において、One of the most popular expert advisors in 2018!(2018年において最も高い人気を得たEAの一つ)” として、この『Piphiker EA』を紹介している。

一体どこの世界の話をしているのかと唖然とさせられてしまうが、先に述べたような現状を見て、誰が『Piphiker EA』のことを「その年を代表するような人気EA」だと信じるというのだろうか。

 

一応、“the world's most popular(世界で最も人気)” や “in Europe(ヨーロッパにおいて)” などの範囲を特定する表現を避けているため、「iForexRobotの販売プラットフォーム上において最も人気だった」という意味である可能性も、絶対にあり得ないとは言い切れない

もしそういう意図に基づいた表現だったならば、確かに「嘘」だと断定することはできないが、いずれにせよ大勢の人の誤解を誘発しかねない表現を堂々と用いるのは、決して「誠実な行い」だとは言えないだろう。

 

ただ、これに関しては、開発陣ではなく販売元が先走った結果だとも言えるため、あるいは『Piphiker EA』も、最初の頃は被害者だったと言えたのかもしれない。

しかしながら、既に発売からしばらく経っているにもかかわらず、あの怪しげな宣伝文句を一向に取り下げさせていないところを見るに、もはや開発陣も「同罪」だと評価せざるを得ないだろう。

 

返金保証を提供していない

前述した通り『Piphiker EA』は、購入者に対して一切の「返金保証」を提供していない。まさに、「無条件返金保証」ならぬ「無条件返金拒否」だ。

 

「返金保証が用意されていない」というだけならば、「条件設定が厳しいために、実際に返金保証を受けられるのは口座を破綻させた場合か、それに準ずる損失を負った場合のみ」というような製品も少なからず存在しているため、まだ擁護のしようもあっただろう。

しかしながら、ここまでに『Piphiker EA』は数多くの疑惑を積み重ねてきており、既に “リーチ” の状態。そこに来て、返金保証が用意されていないとなると、もはやいよいよ “役満” だ。

 

なお、これは余談だが、今回レビューを作成するにあたり、『Piphiker EA』の公式サポート宛てに問い合わせを行った。三日ほど前に連絡したのだが、本稿の作成時点においても未だに何の返信もない状況が続いている。

これまでに様々なEAの公式サポートに問い合わせを行ってきたが、大抵の場合において一日以内、遅くとも二日後までには何かしらの反応を得られる場合が大半であり、三日間以上も何の音沙汰もない場合は、永遠に返信が返ってこないパターンがほとんどだ。

 

ここに来てサポートの品質までもが疑わしくなってきた訳だが、そもそも連絡しても無視されてしまうならば、仮に「返金保証」が用意されていたとしても、まったく何の意味もないことになる。

どうやら「無条件返金拒否」の公約は、“二重構造” による盤石の構えで確実に遵守されることとなりそうだ。

 

公式フォワードテストの成績を公開している

「信頼性」に関しては実に散々な結果となっている『Piphiker EA』だが、一つくらいは加点できる要素があるはずだと検討した結果、唯一この「公式フォワードテストを公開している」という点が最終候補にまで残ることとなった。

しかしながら、この貴重な加点要素からも減点せざるを得ないことを伝えなくてはならないのが、何とも心苦しい限りだ。

 

まず、第一の減点要素として、「MyfxbookではなくFX Blue上でフォワードテストの成績データを公開している」点が挙げられる。

MyfxbookとFX Blueの信頼性については、これまでに何度も言及してきたのでここでは割愛するが、一般論として「悪意のあるデータ改ざん」に対する信頼性は、Myfxbookの方がF Blueよりも高いと言えるだろう。

 

また、FX Blue上に現在公開されている公式フォワードテストの成績データにおいては、一部の重要なデータにロックが掛けられており、「過去に実行された全取引の成績履歴」に関するデータを閲覧できないようにされている。

ロットサイズや口座残高など、一部項目に限定して情報が秘匿されることはままあることだが、「取引履歴を完全に非公開にする」という “暴挙” にまで踏み切ったEAというのは、あまり記憶にない

 

それでも、システム全体としての成績を確認することができる分、フォワードテストの成績データが公開されているだけ上等だとも言えるが、裏を返せば、「公開されていないよりはマシ」という程度の話でしかないとも言えるだろう。

 

 

『Piphiker EA』の総評

無駄に結論を引き延ばす意味もないので単刀直入に言うが、『Piphiker EA』は、「SCAM(詐欺商材)」であるおそれが非常に高く、残念ながら人様に到底おすすめできるような製品ではないだろう。

「収益性」については確実に人の目を惹くものがあり、「安定性」に関しても、収益性の高さと取引ロジックにおける基本戦略のことを加味すれば、ぎりぎり及第点を与えられたようにも思われるが、残る「信頼性」に対する評価が、あまりに “致命的” だったと言える。

 

2019年8月30日時点での『Piphiker EA』の成績

 

無論、世の中に「絶対」というものが存在しない以上、『Piphiker EA』が実際はまともなEAである可能性も完全には否定できないが、そもそもの話として、そのような一縷の望みに託して運用するほど、このEAに価値や将来性があるとは言い難い

為替取引という誰にも確かな未来の読めない世界に生きる以上、いつかどこかのタイミングで危ない橋を渡らなくてはならない状況に置かれることもあるとは思われるが、少なくとも「Piphiker EAを運用する」というのは、わざわざ渡る必要のない “橋” だろう。

 

もっと割の良い橋は世の中に幾らでも存在しているし、どうせ渡るならばそちらを渡りたいというものだ。

 

なお今回、折角レビューをリクエストしてくれた方には実に申し訳ない結果となり、ご期待にも添えなかったかもしれないが、「胡散臭い商品から世の中のトレーダーを守る啓蒙活動に協力した」と思って、どうか溜飲を下げていただきたい。

とは言え、hiker(ハイキングをする人)” の名を冠するだけあって、この絶望的な状況から一歩ずつ這い上がってこないとも限らないだろう。今後も気長に動向を見守っていくことにしたい。

 

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