「顧客とインターバンク市場の間にFX会社が立ち、自身の裁量で顧客の注文を管理・決済する取引形態」のこと。
DDとは「Dealing Desk(取引するための机)」の略称であり、別名「OTC(Over The Counter)」方式。
「取引するための机(がある)」とは、つまりFX会社に所属しているディーラーが、顧客からの注文に介入することを意味しており、投資家はこのディーラー(FX会社)と相対取引する形となる。
一方で、「NDD(Non Dealing Desk)方式」と呼ばれる別の取引形態においては、「取引するための机」が存在しない。
つまり、FX会社の役割は、あくまで「投資家とインターバンク市場とを繋ぐ仲介役を担う」ことだけであるため、投資家はインターバンク市場と相対取引することとなる。
また、DD方式においては、顧客から受けた注文がすべてインターバンクに流される訳ではない。FX会社は利益を得るために、ディーラーに顧客からの注文を処理させる。
受けた注文をインターバンク市場にあえて流さなかったり、同じ会社を利用する顧客の注文同志をぶつけ合って相殺させたりと、いわゆる「呑み行為」をすることでFX会社は利益を得ようとする。そうしてなお注文を処理しきれなかった時に初めて、インターバンクに注文が流されることとなる。
ポイント
・DD方式 ⇒
投資家は、FX会社と相対取引。FX会社(ディーラー)の裁量に取引が影響される。
・NDD方式 ⇒
投資家は、インターバンク市場と相対取引。FX会社は、あくまで取引を仲介するだけ。「STP方式」と「ECN方式」に分かれる。
DD方式のメリットとしては、圧倒的なスプレッドの狭さに加え、NDD方式よりも注文の約定率が高い点が挙げられる。
NDD方式では、インターバンク市場に出ている注文分しか取引が成立しないが、前述のように、DD方式ではFX会社が一旦すべての注文を抱えてから処理するため、より約定する確率が高くなる。
一方で、取引にディーラーの裁量が介在している分だけ、取引の透明性が失われる点が、デメリットと言える。そのため、「投資家に不利なように(=FX会社に有利なように)不正な操作が行われている」として、DD方式の危険性を指摘する声も根強く聞かれる。
なお、DD方式とNDD方式には、もう一つ決定的な差異がある。
DD方式においては、前述のような吞み行為が常態化しているため、投資家とFX会社は基本的に利益相反の関係にある。つまり、FX会社は、投資家が負ければ負けるほど儲かり、投資家が勝てば勝つほど損をすることとなる。
一方で、NDD方式においては、FX会社はあくまで投資家とインターバンク市場の仲介を行うだけであり、その収益源も、顧客から徴収する手数料(スプレッド)のみである。
FX会社にとっては、投資家が勝とうが負けようが(直接的には)関係のないことであり、取引が行われれば行われるほど儲かることとなるため、両者の間に利益相反は起こらない。
なお、その発注と約定の仕組み上、「ECN方式」の方がより透明性と信頼性が高くなる上に、FX会社の利益が上乗せされない分だけスプレッドはより狭くなる。
ただし、「STP方式」には存在しない取引手数料が課せられるほか、レバレッジ倍率の上限がやや低かったり、最小取引単位や最低入金額がやや厳しめに設定されたりしている場合も多い。
ポイント
・DD方式 ⇒
「吞み行為」が可能。投資家が負けるとFX会社が儲かるため、利益相反が起こる。
・NDD方式 ⇒
「吞み行為」不可。収益源は手数料のみであるため、利益相反が起こらない。
この差異を根拠に、「DD方式よりもNDD方式の方が、根本的に投資家にとって有利である」とする意見も、しばしば聞かれる。
また、現時点では、国内のFX会社の大半がDD方式を採用しており、NDD方式を採用する会社の数はまだ少ない。