知っているようで知らない「GMTオフセット」
「GMTオフセット」という言葉は、EAについて造詣を深めていく中で、必ずと言っていいほど誰もが一度は目にする単語の一つと言えるのではないだろうか。
実際、大半のEAに「GMTオフセット」に関係するパラメーターが実装されているせいもあってか、当サイトにおいても、定期的かつ割と高い頻度で問い合わせのあるトピックの一つとなっている。
そこで今回、「GMTオフセット」とは何かについて解説を行うとともに、自分の運用環境における「正しいGMTオフセットの求め方」などについても紹介したいと思う。
そもそも「GMT」とは?
「GMTオフセット」について解説する前に、そもそも「GMTとは何か」という根本的な話について触れておきたい。
「GMT」とは、「Greenwich Mean Time」の略称であり、日本語で言うところの「グリニッジ標準時」のことだ。
グリニッジ標準時(GMT)は、「緯度0度」と定められている英国のグリニッジ天文台において観測され続けている太陽時であり、かつては世界における “国際的な基準時刻” として使用されていた。
なお、現在は、実質的に地球の自転による影響を受けない高精度な原子時計の示す時刻を基にして、現代に入ってから生み出された「協定世界時(UTC)」が、新たな国際的な基準時刻として採用されている。
既に「世界で最も精確な時刻系」の座を奪われて久しいグリニッジ標準時(GMT)だが、協定世界時(UTC)との間に生じる誤差は、人間には体感できないほどの微差に過ぎないため、実生活上においては、二つの時刻系はほぼ同義と考えて良いと言えるだろう。
事実、世界各国の様々な場面においてGMTは採用され続けており、FXやEAの世界においても、長らくGMTが重用され続けている。
本題の「GMTオフセット」とは?
結論から言うと、「GMTオフセット」とは、「利用しているFX会社のサーバー時間とグリニッジ標準時(GMT)との時間差」のことだ。
世界各国に数多く点在するFX会社は、やはり同様に世界各国に自社サーバーを構えているため、「GMTとの時間差」ということは、つまり「利用するFX会社が異なれば、GMTオフセットの値も異なる可能性が高い」ということになる。
では、何故EAの世界において「GMTオフセット」が重要視されているかと言えば、「この時間差によって、EAが本来の実力を発揮できなかったり、あるいは誤動作を起こして想定外の損害を被る羽目になったりすることがあるため」という理由に他ならない。
「EAが取引時間内だと思ってポジションを決済しようとしたら、実際には既に取引時間が終了していたため、ポジションを決済できないまま翌日以降に持ち越さざるを得ず、最終的に想定外の損失を被ってしまった」などという話は、その “被害” の代表例だと言えるだろう。
「時間通りに行動しないと結果の出ない世界において、他の誰もが同じ基準に合わせた時計に従って動いている中、自分だけが時間の大きくずれた腕時計に従って生きている」という状況を想像してみてほしい。
「GMTオフセット」を適切に修正しないまま、EAに取引を実行させることの恐ろしさと愚かしさについて、少なからず理解してもらえたことだろう。
だからこそ、EAがその影響を受けないで済むように、自分の運用環境における「GMTオフセット」の値を正しく把握し、常に適切に補正し続ける必要があるという訳だ。
「GMTオフセット」の求め方
さて、直前で不安を煽るようなことを並べ立てておいて何なのだが、「自分の運用環境における「正確なGMTオフセットの値を求める方法は、かなり簡単な作業なので安心してほしい。
「GMTオフセット」を求める計算式
FX会社のサーバー時間 - グリニッジ標準時(GMT) = GMTオフセット
上記の計算式は、「GMTオフセット」を算出するための計算式だ。
この式の単純明快さを見れば、「正確なGMTオフセットは簡単に求められる」という言葉が真実だと信じてもらえたに違いない。
なお、以下は、計算において必要となる「FX会社のサーバー時間」と「グリニッジ標準時(GMT)」を確認するための手順だ。
「FX会社のサーバー時間」の確認方法
step
1MT4を起動する
step
2「気配値表示」ウィンドウの表示時刻を確認する
MT4が起動したら、初期設定では操作画面の右上部に表示されている「気配値表示」ウィンドウに注目してほしい。
「気配値表示」という文字の横に記載されている時刻が、まさしく「利用しているFX会社のサーバー時間」だ。
「グリニッジ標準時(GMT)」の確認方法
step
1特設サイトにアクセスする
step
2表示されたページに記載されている時刻を確認する
上記のリンクから移動すると、上掲の画像と同じ画面が表示されるはずだ。
画像内において赤枠で囲われた箇所に記載されている時刻が、世に誉れ高き「グリニッジ標準時(GMT)」なので、忘れないようメモを取るなり何なりしてほしい。
以上の工程を踏まえて、仮に「FX会社のサーバー時間=15:30」かつ「GMT=13:30」だった場合、前述した計算式に当て嵌めるとGMTオフセットは「+2」、「FX会社のサーバー時間=15:30」かつ「GMT=18:30」だった場合、GMTオフセットは「-3」という結果が得られる。
なお、実際に上記の作業を行ったとしても、おそらく全てを完了するまでに五分もかからないことだろう。この簡単な作業で得られた「GMTオフセット」の値を基に、EAに適切な値を設定してほしい。
まとめ
ここまで「GMTオフセット」やその求め方などについて色々と解説してきたが、最後にもう一つだけ “とある事実” を述べて、今回の締め括りとしたい。
実に身も蓋もない話で恐縮なのだが、「GMTオフセット」は、FX会社が公式サイト上にて公開している場合が多い。
そのため、実際には前述したような作業は不要となる場合が大半なのだが、時には「海外のFX会社を利用しているため、外国語で作られた公式サイトを上手く利用できない」場合や、「そもそもGMTオフセットを公開していない」場合もあることだろう。
たとえ日本語以外の言語に精通していなくても、自分の力だけで「GMTオフセット」を求められる知識を身に付けることは、決して無駄な行為ではないはずだ。
あるいは、「自分で求めたGMTオフセットの値」と「利用するFX会社が公開しているGMTオフセットの値」とが本当に合致しているかを、 二重に確認することの意義も間違いなく存在すると言えるだろう。
何にせよ、どのような方法でだろうと構わないので、とにかく「正確なGMTオフセットの値」を入手し、EAの “時差ぼけ” による不必要な事故の発生を未然に防ぐようにしてほしい。
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