収益性の向上と安定性の悪化が見られた前回
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『Z Trader FX EA』の検証とレビュー
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『Z Trader FX EA』経過観察 その2 |加速する成長と高まる信頼性
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『Z Trader FX EA』経過観察 その3 |高まる収益性と弱まる安定感
想定外の現象に見舞われた前回 前回、かなり好調な成績の推移を見せた裏側で、プロフィットファクター(PF)の値において劇的な変動も確認された『Z Trader FX E ...
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「収益性の大幅な改善」という喜ばしい現象と、「含み損の大幅な増大」という煩わしい現象に同時に見舞われた前回の『Z Trader FX EA』。
加速した収益性は勢いを維持できたのだろうか。そして、膨らみ始めた含み損に歯止めはかけられたのだろうか。さっそく確認していくことにしたい。
快勝されない含み損と新たに芽生える疑惑
結論から言うと、前者の問いに対する答えは「YES」であり、後者の問いに対する答えは「NO」という結果となった。
資産曲線の推移を見れば、収益性は前回と同等以上の成長率を維持することに成功している一方で、含み損は前回以上に大きく膨れ上がっていることが分かるだろう。
より厳密に言うならば、有効証拠金の金額自体は前回と同程度のままではあるものの、口座残高が大きく増加したために、二本の曲線の乖離が大きくなってしまった形だ。
なお、「保有中のポジションが持つ含み損が解消される前に、追加で新規ポジションを建て続ける」という『Z Trader FX EA』の基本的な仕様の存在が、今回の現象を引き起こす引き金となっているものと推察される。
公式フォワードテストの成績データにおいては、保有中のポジション情報は非公開とされているため詳細な状況までは不明だが、保有ポジションの含み損自体が大きく膨らんでしまったか、新たに含み損を持つポジションの数が急増したか、あるいはその両方だろう。
辛うじて今回は最大ドローダウン値を更新する事態は避けられたようだが、現在の傾向が今後も続いたならば、更新されてしまうのも時間の問題に過ぎなそうだ。
いずれにせよ、たとえ原因がどこにあろうとも、『Z Trader FX EA』の含み損は着実に以前よりも膨みつつあり、EAとしてのリスクも確実に以前より増大していることだけは、しっかりと認識しておくべきだろう。
『Z Trader FX EA』の実績
回数 | 通算利益 | 最大DD | 平均月利 | 通算勝率 | PF |
---|---|---|---|---|---|
初レビュ―時 | 665.36% | 35.38% | 29.48% | 90% | 31.76 |
第1回 | 720.64% | 35.38% | 25.58% | 90% | 34.56 |
第2回 | 798.80% | 35.38% | 22.30% | 88% | 10.51 |
第3回 | 910.70% | 35.38% | 20.93% | 88% | 11.55 |
第4回 | 1,026,20% | 35.38% | 19.69% | 88% | 12.88 |
前回比 | +115.50% | ±0.0% | -1.24% | ±0.0% | +1.33 |
累計 | +360.84% | ±0.0% | -9.79% | -2.0% | +2.37(※) |
回数 | 損益(pips) | 損益(金額) |
---|---|---|
初レビュ―時 | ー | ー |
第1回 | +210.6 pips | +1,287.64 RUB |
第2回 | +628.3 pips | +1,780.87 RUB |
第3回 | +489.6 pips | +3,217.84 RUB |
第4回 | +491.4 pips | +3,316.02 RUB |
前回比 | +1.8 pips | +98.18 RUB |
累計 | +1,819.9 pips | +9,602.37 RUB |
※RUB = ロシアルーブル
一方で、前述した通り、収益性に関しては今回も、前回に引き続きとても好調な流れを維持することに成功。
平均月利の減少に関しては仕様上の問題としてさておいて、通算利益と損益の数字については、絶対値としても前回比の相対値としても素晴らしい伸びを見せている。
また、月度別成績の推移にも、直近数ヶ月間における好調ぶりがはっきりと見て取れることだろう。
『Z Trader FX EA』の月度別成績
2019年 | |||
---|---|---|---|
成長率(%) | pips | 金額(RUB) | |
1月 | +19.32 | +473,2 | +2,951.0 |
2月 | +7.59 | +294.6 | +1,383.0 |
3月 | +11.86 | +358.7 | +2,327.0 |
4月 | +3.07 | +129.4 | +673.18 |
5月 | +6.37 | +224.8 | +1,440.0 |
6月 | +2.02 | +409.7 | +485.79 |
7月 | +14.12 | +506.5 | +3,464.0 |
8月 | +8.19 | +350.0 | +2,293.0 |
9月 | +6.15 | +302.6 | +1,863.0 |
10月 | ― | ― | ― |
11月 | ― | ― | ― |
12月 | ― | ― | ― |
累計 | +78.69 % | +3,049.5 pips | +16,879.97 RUB |
※RUB = ロシアルーブル
ただし、以前に謎の暴落を見せたプロフィットファクター(PF)も引き続き顕著な増加を見せていることについては、素直にその好成長を喜ばしく思う反面、“一般的な水準” からますます懸け離れていくことに一抹の不安も覚えざるを得ない。
「2.0」を超えていたら理想的、「1.5」前後あれば十分に優秀と言われる中で、暴落後でさえ「10.0」の大台を軽々と超えているという事態は、客観的に見ても中々に異例の事態だと言えるだろう。
参考:『Z Trader FX EA』のプロフィットファクターの数値変動について
とは言え、同じく “一般論” から言えば、プロフィットファクターの値が大きいということは、「損失を抑えて効率よく利益を得られている」ことも意味するため、基本的に数字が大きいに越したことはないとも言える。
その相反する事実が、このEAに対する評価を難しくしてしまっている印象だ。
今回の総評
曇りなき眼で裏を疑うことなく素直に評価するならば、今回の経過観察において『Z Trader FX EA』が果たした成長は、総合的には好ましいものだったと言えるだろう。
無論、含み損が大きく膨らんだまま解消されないでいる現在の状況は、決して褒められたものではない。
しかしながら、背負うリスクが増大した分だけ収益性にも改善が見られており、既に「安全」の太鼓判を押せる塩梅ではないものの、「リスクとリターンとのバランス」自体は比較的に正しく保たれているとも言える。
一方で先日、『Z Trader FX EA』については、「10年前までしか遡ってバックテストできない」、「手動で損切りを行わない限り含み損を抱え続ける」など、公式サイト上に記載された情報からは読み取ることのできない仕様が、読者からの報告により判明している。
別個の事象だけを見れば、そこまで問題視する必要もないと言えるかもしれないが、既にこれまでに積み重ねられてきた幾つかの “疑惑” の存在を思うと、新たに判明した事実についても、疑いの眼差しを注がざるを得ないというものだろう。
疑ってかかった結果、疑惑が全くの見当違いだったならば、開発者に一言心の中で詫びれば済む話だが、もし疑惑が “黒” だった場合、無警戒で無防備に取引を続けることで、取り返しのつかない大損害を被ることにもなりかねない。
そのリスクを思えば、EA運用においては、「疑わしきは罰せず」のような消極的な態度ではなく、むしろ「疑わしきを積極的に罰す」くらいの姿勢で臨むべきだろう。
前回の総評においては、「含み損が大きくなり安定性が損なわれたことで、むしろEAとしての信頼性が高まった」と評価したものの、一転して今回の経過観察では、その高まったはずの信頼性が大きく揺らぐ格好となってしまったと言える。
現在、EAとして一つの正念場を迎えている『Z Trader FX EA』だが、はたしてその正体は “単に怪しいだけの善人” なのか、それとも “善人の皮をかぶった悪党” のどちらなのか。引き続き経過を観察し、注意深く見極めていく所存だ。
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