FXコラム

MT4で「信頼性の高いバックテスト」を行う正しい方法【解説編】

「バックテスト」とは

 

自動売買の世界に片足でも突っ込んでいる人ならば、誰しも一度は「バックテスト」という言葉を耳にしたことがあるはずだ。

バックテストとは、広義には「特定の売買ルールの有効性について、過去の相場データを用いて検証し、一定期間における成績のシミュレーションを行う作業」のことを指し、EAの世界においては、「一定期間において、特定のEAがどのような成績を記録するかを検証する作業」のことを意味する。

 

EAによる自動売買に本格的に取り組む意志があるならば、「バックテスト」の正しい実施方法を身に着けておいても決して損はないだろう。

何故ならば、正しい方法に沿って得られたバックテストの結果が、適切に評価することでトレーダーの大きな助けとなる一方で、あまり好ましくない方法で実行されたバックテストの結果は、トレーダーを破滅させる一因となりかねないからだ。

 

多少大げさに聞こえるかもしれないが、バックテストの結果を参考にしてリアル口座での取引に挑戦する以上、もし参考にするデータの信頼性が低ければ、その結果がどうなるかは想像に難くないだろう。

だからこそ、バックテストは正しく実施されるべきであり、得られた結果の取り扱い方についても注意が必要となる。

 

 

 

「バックテスト」を実施する方法

一口に「バックテストを実施する」と言っても、その方法は、以下の二つに大別される。

誤解を恐れずに簡単に言ってしまえば、「お金は掛からないが、手間の掛かる方法」と「お金は掛かるが、手間の掛からない方法」の二択だ。

 

MT4に標準搭載の「ストラテジーテスター」機能を利用する

バックテストの実施方法として、最も一般的な手段が、このMT4(MetaTrader 4)を利用して行う方法だろう。

MT4には、「ストラテジーテスター」と呼ばれる機能が標準で搭載されており、この機能を利用することで、誰でも簡単に、かつ無料でバックテストを実施することが可能となる。

 

ただし、「どのFX会社が提供しているMT4を利用するか」ということについては、バックテストで得られる結果にも深く関わってくるため、その判断は慎重に下される必要があることを覚えておいてほしい。

 

専用のツールやソフトウェアを利用する

「Forex Tester 3」の公式サイトのキャプチャ画像

世界的に有名な検証ツール「Forex Tester 3」

一方では、市販されている有料のソフトウェアやツールを利用して、バックテストを行う方法もある。

MT4を利用した方法よりは一般的とは言えないが、「ストラテジーテスター」機能よりも詳細に検証と分析を行えたり、テストに利用するデータ精度が高く、より精確なシミュレーションを実行できたりするなど、多くの利点も存在している。

 

また、MT4で実現するには所定のカスタマイズを必要とするような機能のほか、そもそもMT4単体では実現不可能な機能なども搭載されている場合が多く、その機能性と利便性の高さには、お金を支払うだけの価値があると言えるだろう。

 

どちらの方法でバックテストを実行すべきか

上記に紹介したどちらの方法についても一長一短な部分があるため、最終的には「お好きな方をお選びください」という結論に帰結してしまうのだが、それではあまりに不親切だというものだろう。

以下に、各手法のメリットとデメリットについて簡単にまとめたので、どちらの手法が自分に合っているかを判断する一助にしてほしい。

 

 MT4の「ストラテジーテスター」機能を利用した方法

メリット

  • MT4を利用できる環境があれば、誰でも簡単な操作で実施できる
  • バックテストの実施に関して、一切の費用が掛からない

デメリット

  • バックテストの精度を高めるために、所定のカスタマイズが必須となる
  • テスト結果の分析や検証について、必要最低限のことしかできない

MT4を利用する最大のメリットは、やはり「誰でも簡単に無料でバックテストを実施できる」という点に尽きるだろう。

 

一方で、機能性や利便性という点においては、当然それ専用に開発された有料ソフトウェアに及ばない訳だが、その弱点も、幾つかのカスタマイズや無償で提供されているツールを利用することで、かなりの部分をカバーすることが可能だ。

また、バックテストにおいて何よりも重要となる「テスト結果の精度」についても、初期設定の状態においてこそ不安が残るものの、精度の高いデータを別途ダウンロードして導入することで、有料ソフトウェアに匹敵する精度にまで高めることができる

 

ただし、上記のようなカスタマイズには、大なり小なり面倒臭い作業が伴うため、「何でもかんでも自分でやらなくてはいけない」という点は、MT4を利用する上で避けては通れないデメリットだと言えるかもしれない。

 

 

有料のソフトウェアやツールを利用した方法

メリット

  • 簡単に精度の高いバックテストを実行できる
  • MT4よりも、詳細にテスト結果の分析や検証を行える
  • MT4には標準搭載されていない機能を利用できる

デメリット

  • 利用するためには、有料の市販ソフトウェアを購入する必要がある

一方で、こちらの方法を選ぶデメリットとしては、やはり「お金が掛かる」という点が唯一にして最大のものとなるだろう。

 

ただし、前述した通り、流石に有料なだけあって、性能と機能性の両面においてMT4の「ストラテジーテスター」機能を大きく凌ぐため、特に面倒なカスタマイズを必要とせずに、そのソフトウェアだけで大概の作業を完結できる場合が多い。

「可能な限り煩わしい作業を省きたい」という人にとっては、十分に価値のある選択肢となり得るはずだ。

 

なお、本稿では、誰もが利用できるMT4を利用した方法について、詳しく解説していくことにしたい。

 

 

MT4を利用した「バックテスト」の下準備

さて、いよいよバックテストの実施方法に話を移していきたいところだが、その前に「正しいバックテスト」を実施するための “下準備” について、まずは解説する必要があるだろう。

何を以て「正しい」と評価するかは人それぞれだろうが、ここでは「可能な限りバックテストの精度が高くなること」を「正しい」と定義して、話を進めていくことにする。

 

なお、本稿は、バックテストの実施方法について、その概要と大まかな流れを解説することを趣旨とした “前編” であるため、各作業や手順に関する詳細な解説は、”後編” にあたる【実践編】を参照してほしい。

 

 

「ヒストリカルデータ」の重要性について

冒頭でも触れた通り、バックテストとは「過去の相場データを用いて検証し、一定期間における成績のシミュレーションを行う作業」のことであり、この「過去の相場データ」のことを、一般的に「ヒストリカルデータ」などと呼ぶ。

つまり、検証に用いるヒストリカルデータが不正確なものであればあるほど、その検証の結果についても、必然的に不正確なものとなってしまう訳だ。

 

そこで、MT4を利用してバックテストを行う際には、可能な限り精確な過去の相場データを使用する必要があるのだが、残念ながら多くのMT4に初期設定で登録されているヒストリカルデータは、多くの場合においてあまり精確ではない

そのため、「精度の高いヒストリカルデータ」を入手することが、バックテストを正しく実施するための第一歩だと言える。

 

 

バックテスト専用MT4をダウンロードする

Alpariのロゴ

ヒストリカルデータの精度に定評のある「Alpari」社

上質なヒストリカルデータを入手することが第一歩目だとするならば、「バックテスト専用のMT4」をPCに導入する作業は、準備運動のようなものだ。

 

必ずしも実際にEAを稼働させるMT4と、バックテストに利用するMT4とを分ける必要はないかもしれないが、両者を分けないことによって得られるメリットは、ほぼ皆無だと言える

一方で、誤操作や各種設定の変更によるリアル取引への悪影響など、両者を分けないことによるデメリットは確実に存在しているため、明確な意図や目的がある場合を除けば、新たにバックテスト専用にMT4を用意した方が無難だろう。

 

 

高精度なヒストリカルデータを取得し、利用できる形に整える

MT4のヒストリカルデータ

バックテスト専用のMT4を用意したら、次は端末を操作して、ヒストリカルデータをMT4上にダウンロードする必要がある。

ヒストリカルデータをダウンロードする作業自体は、MT4の操作画面を数回クリックする程度の簡単な工程で完了できるのだが、正しいバックテストに使用できる状態に整えるためには、他にも幾つかの手順を踏まなくてはならない

 

 

例えば、「Period Converter ALL」というMT4用のスクリプトを利用して、入手したデータから各時間足のヒストリカルデータを生成する必要があるのだが、その辺りのやや複雑な工程については、【実践編】にて画像による説明を交えつつ詳しく解説するので、安心してほしい。

 

MT4とヒストリカルデータの提供元について

ヒストリカルデータの内容と精度は、基本的にMT4を提供しているFX会社によって大きく異なる

そのため、MT4を入手する際は、なるべく高精度なヒストリカルデータの提供元からダウンロードすることが望ましい

また、どこから入手したMT4だろうと、別の提供元から取得したヒストリカルデータを登録することは可能だが、検証の結果に関わるような不整合性が発生する確率を少しでも下げる意味でも、MT4とヒストリカルデータの提供元は一致させておいた方が良いだろう。

 

 

【実践編】に続く

ここまでの工程で、“下準備” はすべて終了しており、後は実際にバックテストを実施するのみとなる。

バックテストの作業自体は、下準備の大変さと比べると呆気ないほどに簡単な手順で完了してしまうため、下準備の方こそが、むしろ “本番” だと言えるかもしれない。

 

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なお、【実践編】でも改めて解説する予定だが、MT4を利用したバックテストの実施方法については、上の記事の中でも軽く触れているので、興味があれば確認してみてほしい。

 

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