『Forex Zeon-X Pro』評価
収益性:(5.0)
安定性:(3.5)
信頼性:(1.0)
総合評価
(1.0)※※ SCAM警報 ※※
前置きと謝辞
今回、『Forex Zeon-X Pro』の販売者からEA紹介の打診を受けたため、実力や素性などについて一通り調査してみたところ、「怪しさ」を絵に描いたかのような不審なEAだということが判明した。
本来ならここで紹介するに値しない製品なのだが、世に跋扈する「SCAM(詐欺商品)」から身を守る術を啓蒙する意味も込め、敢えてレビューすることにしたので、何かの参考にしてもらえれば幸いだ。
『Forex Zeon-X Pro』基本情報
- 【取引通貨ペア】: 9種類
対応が確認されている通貨ペア
● 米ドル/円(USDJPY)
● 米ドル/スイスフラン(USDCHF)
● 米ドル/カナダドル(USDCAD)
● ユーロ/円(EURJPY)
● ユーロ/米ドル(EURUSD)
● ユーロ/英ポンド(EURGBP)
● ユーロ/スイスフラン(EURCHF)
● 英ポンド/米ドル(GBPUSD)
● 豪ドル/米ドル(AUDUSD)
- 【スタイル】: スキャルピング~デイトレード
- 【販売価格】: 199.99 ~ 499.99ドル(最長60日間の無条件返金保証)
- 【最低入金額】: 5,000ドル / 50ドル(※セント口座)
- 【推奨入金額】: 非公開
- 【推奨時間足】: 1時間足(H1)
- 【推奨レバレッジ倍率】: 1 : 100
『Forex Zeon-X Pro』は、全部で九種類の通貨ペアでの取引に対応しているとのことだが、公式フォワードテストの取引履歴を確認してみたところ、実際には、上記リストに記載のない複数の通貨ペアを合わせた十種類以上もの通貨ペアが取引されていた。
また、通常のドル建て口座であれば「5,000ドル」、セント口座であれば「50ドル」と、最低入金額にかなりばらつきがある点に加え、対応している通貨ペアの種類に関しては『Forex Kore EA』と同様だ。
レバレッジ倍率の設定については、あらゆる倍率設定での運用に対応しているようだが、公式ユーザーガイド上では「1:100」設定での運用が推奨されている。
メンバーシップの特徴
Starter | Professional | Ultimate | |
---|---|---|---|
価格 | 199.99ドル | 299.99ドル | 499.99ドル |
利用可能リアル口座数 | 最大1つまで | 最大2つまで | 最大4つまで |
利用可能デモ口座数 | 無制限 | ||
返金保証サービス | 最長60日間(※無条件返金保証) | ||
アップデート保証 | 無償 | ||
ユーザーサポート | 24時間 & 年中無休 | ||
対応プラットフォーム | MT4 |
そのほか、メンバーシップには三種類を用意。「利用可能なリアル口座数」に関してのみ上限数が異なるが、それ以外の仕様についてはすべて共通となっている。
なお、『Forex Zeon-X Pro』は「最長60日間の無条件返金保証」を謳っており、多くの競合製品よりも手厚い保証を提供しているが、後述の理由から、その約束が正しく履行されるかどうかには不安が残ると言えるだろう。
『Forex Zeon-X Pro』の特徴
一見すると公式サイト上には多くの情報が溢れており、EAの特徴や機能について詳細が語られることに期待できそうなのだが、いざ蓋を開けてみたところ、そのほとんどが中身のない “隙間埋め” に過ぎないことが判明。
仮に公式サイトをその製品の「顔」だとするならば、『Forex Zeon-X Pro』の “人相” については、残念ながら「悪い」と言わざるを得ないだろう。
独自のユーザー保護機能を搭載
EAの機能について公式サイト上に確認できる唯一の情報によると、『Forex Zeon-X Pro』には、独自のユーザー保護機能に加え、資金管理機能が搭載されているとのこと。
以下に、僅かながらも得られた各機能に関する情報を共有したい。
1.悪質なFX会社からユーザーを保護
「Broker Protection Module」と呼ばれる機能により、不利な方向への大きなスリッページやスプレッド、約定遅延などを意図的に引き起こす悪質なFX会社から、ユーザーを保護します。
2.スプレッドによる損失に対する保護機能
現在のスプレッド幅がユーザーが設定した任意の値を上回った場合、『Forex Zeon-X Pro』は取引を実行しなくなります。
3.スリッページによる被害の防止機能
発生したスリッページの大きさが設定した値を上回った場合、また約定の実行時間が設定した値よりも長くなった場合、EAは取引を停止し、あらゆる損失の可能性から証拠金を保護します。
4.資金管理機能
『Forex Zeon-X Pro』は、固定ロット設定での運用に加え、ロットサイズの自動調整機能による変動ロット設定での運用も可能にしています。
また、万が一の場合に備え、EAが取引に使用できる資金の大きさを証拠金に対する割合で指定することが可能です。
公式サイトを一見すると、『Forex Zeon-X Pro』には三種類のユーザー保護機能が搭載されているように見受けられるが、ざっと目を通しただけで、どうやら上記1から3の項目は同じ内容について異なる角度から説明しているだけに過ぎないことが分かる。
そして何よりも重要な事実として、さもスプレッドやスリッページ、約定時間に関する許容値をユーザーが任意で設定できるかのように書かれているものの、実際の『Forex Zeon-X Pro』に、そのようなパラメーターはほぼ何も用意されていない。
一応、ロットサイズの自動調整機能についてはパラメーターが搭載されているが、取引に利用可能な証拠金の割合を指定できるようなパラメーターは存在していないところを見るに、「Broker Protection Module」の存在自体が疑わしいというものだ。
セント口座での運用を推奨
『Forex Zeon-X Pro』の運用に際しては、通常なら少なくとも「5,000ドル」以上、セント口座の場合には「50ドル」以上の証拠金が必要とされているのは上述した通りだが、公式サイトによると、セント口座上での運用が推奨されるとのことだ。
ちなみに、公開されている複数の公式フォワードテストの取引履歴を見る限りでは、そのすべてにおいてセント口座ではなく、通常のドル建て口座上で運用されていたことを補足しておきたい。
超短期・超高頻度な取引スタイル
公式フォワードテストの取引履歴を少し紐解けば、『Forex Zeon-X Pro』が「非常に短期的な取引を圧倒的な頻度の高さで実行する」タイプのEAだということが、すぐに確認できる。
実際、平均取引時間は「数十秒」から「数分」となっており、僅か「数秒」で取引が決済されることも決して珍しくはないようだ。
また、一日当たりの平均取引回数も「十回」前後となっているほか、最も取引頻度の高くなったフォワードテストに至っては、日に「三十回」近くも取引が実行されていることが確認できる。
ただし、『Forex Zeon-X Pro』が一体どのようなロジックに基づいて取引を実行しているかについては、残念ながら公式サイト上に一切の情報が開示されていないため、その詳細は完全なるブラックボックスだ。
『Forex Zeon-X Pro』の成績
理由について詳しくは後述するとして、ここでは上述したリアル口座上でのフォワードテストではなく、データ参照機能が唯一まともに動作する「デモ口座版」の取引履歴を確認していくことにしたい。
運用開始からちょうど一ヶ月が過ぎたばかりだが、「通算利益」の数字は早くも三桁の大台に乗りそうな勢いであり、デモ口座上での疑似的な記録とは言えど、非常に目覚ましい幕開けを飾ることに成功している。
「平均月利」の成績が尋常じゃないことになっているのはさておくとして、「プロフィットファクター(PF)」も目を惹くような成績を叩き出しているほか、「通算勝率」についても確実に平均を超える水準を維持。
それでいて最大ドローダウンに関しては「20%」以下に抑えており、まさに全方位に隙の見当たらない好成長ぶりを発揮していると言える。
『Forex Zeon-X Pro』の実績
回数 | 通算利益 | 最大DD | 平均月利 | 通算勝率 | PF |
---|---|---|---|---|---|
初レビュ―時 | 91.41% | 19.23% | 91.41% | 76% | 4.38 |
前回比 | ー | ー | ー | ー | ー |
累計 | ±0.0% | ±0.0% |
±0.0% | ±0.0% | ±0.0 |
回数 | 損益(pips) | 損益(金額) |
---|---|---|
初レビュ―時 | ー | ー |
前回比 | ー | ー |
累計 | ±0.0 pips | ±0.0 ドル |
なお、取引履歴を確認すると、この短期間での驚異的な急成長の裏側では、常軌を逸したと言えるほどに高い頻度で取引が実行されていたことが分かるだろう。
運用開始から本日までの短期間で、既に累計取引回数は「1,300回」近くに達しているのだが、ここ二週間ほど新規にポジションが建てられていないため、実際には僅か二十日間ほどで約「1,300回」もの取引が実行されたことになる。
これを一日当たりの平均取引回数に換算すると、毎日およそ「60回」以上もの取引が実行されていたことになるが、他の類似EAと比較しても、この数字は圧倒的だと言えるだろう。
『Forex Zeon-X Pro』の月度別成績
2020年 | |||
---|---|---|---|
成長率(%) | pips | 金額(USD) | |
1月 | ー | ー | ー |
2月 | ー | ー | ー |
3月 | ー | ー | ー |
4月 | +19.33 | +2,156.2 | +1,933.01 |
5月 | ー | ー | ー |
6月 | ー | ー | ー |
7月 | ー | ー | ー |
8月 | ー | ー | ー |
9月 | ー | ー | ー |
10月 | ー | ー | ー |
11月 | ー | ー | ー |
12月 | ー | ー | ー |
累計 | +19.33 % | +2,156.2 pips | +1,933.01 USD |
※USD = 米ドル
ちなみに、他にほとんど類を見ない取引頻度の高さについては、前述したフォワードテストの成績とも合致する一方で、このデモ口座版の「平均取引時間」についてはおよそ「17時間」となっており、先のフォワードテスト結果とは大きく乖離しているようだ。
デモ口座とリアル口座とで、取引結果に大なり小なりの差異が生じることは別に珍しいことでもないが、流石にここまで差が大きいとなると、何か裏があるのではないかと勘繰りたくなってしまうのも道理というものだろう。
『Forex Zeon-X Pro』の信頼性
目先の欲望や利益を求める気持ちが幅を利かせ、倫理や道徳が蔑ろにされがちなFX取引の世界においては、その製品が「SCAM(詐欺商材)」かどうかを判別する技術を磨くことは、何よりも優先されるとさえ言えるだろう。
毒のある生物が美しく目を惹く外見をしていることが多いように、一見すると魅力的にも映る『Forex Zeon-X Pro』だからこそ、念入りにその “本性” を探っていくことにしたい。
ほぼ確実に「Forex Kore EA」の焼き直し
-
『Forex Kore EA』の検証とレビュー
『Forex Kore EA』評価 『Forex Kore EA』 収益性:(5.0) 安定性:(1.0) 信頼性:(1.0) 総合評価 (1.5)※※ SCAM注意報 ※※ ※下 ...
続きを見る
あまり開口一番に喜ばしくない情報をお届けしたくはないのだが、今回実施した調査の結果を見る限り、『Forex Zeon-X Pro』は『Forex Kore EA』の焼き直し品、下手したらほぼ完全な同一製品である可能性が非常に高い。
以下に、今回そう結論付けるに至った根拠を列挙していきたい。
「Fore Kore EA」公式サイト内に謎の「Forex Zeon-X Pro」公式サイトへのリンク
『Forex Kore EA』の公式サイトはつい最近になって全面改装されたのだが、同サイトの最下部まで画面をスクロールしていくと、改装前のサイトには存在していなかった「Forex Zeonx robot」と書かれた一文が追加されていることに気が付くだろう。
その一文をクリックすると、さも当然であるかのように『Forex Zeon-X Pro』の公式サイトへと移動させられることとなる。
そもそもの話として、明確な意図をもって探さなければ見つけられないような場所に、隠すようにして記載している意味も分からないのだが、『Forex Kore EA』の公式サイト上に、同EAと全く縁もゆかりもない製品の公式サイトへのリンクを設置するとは考え難い。
状況証拠から見ても、少なくとも『Forex Kore EA』と『Forex Zeon-X Pro』との間に、何かしらの只ならぬ関係が存在することは間違いないだろう。
「Forex Kore EA」のアフィリエイトリンクを上書き再利用
そして、当サイトでは、収益化の手段としてアフィリエイト広告サービスを利用しており、『Forex Kore EA』のレビューや経過観察内にもアフィリエイトリンクを設置しているのだが、今回そのリンクにとある “異変” が起きていたことが発覚した。
『Forex Kore EA』関連の記事内にある購入ボタンをクリックすると、『Forex Kore EA』の公式サイトではなく、何故か『Forex Zeon-X Pro』の公式サイトへと移動するようになってしまっていたのだ。
ボタンに紐づけるURLを変更した訳でも何でもない。天地神明に誓って何も変更を加えてはいないのだが、リンク先だけが完全に別の製品のものに挿げ替えられた形となる。
念の為、アフィリエイトリンクを発行しているASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)のコンソールからも確認してみたのだが、やはりいつの間にかリンク先だけが変更されていた。
この事実から、少なくとも『Forex Zeon-X Pro』と『Forex Kore EA』の販売者が、そしておそらくは開発者も同一であることについては、まず間違いなく確定したと言えるだろう。
なお、敢えて『Forex Kore EA』関連記事内のリンク修正は行わず、これまでと同じ状態を維持しておいてあるので、興味がある人は実際に自分の目で確かめてみてほしい。
ユーザーガイドの中身が『Forex Kore EA』とほぼ一致
また、ここまでは公式サイトという “外から見える場所” における話だったが、公式ユーザーマニュアルという “外からは見えない場所” においても、両EA間のただならぬ関係を強く示唆する痕跡を確認している。
なお、実際に二つのユーザーマニュアルを突き合わせながら読み比べてもらえれば話は早いのだが、原則としてユーザーマニュアルは購入者にのみ提供される有料コンテンツなので、マナーとしてここでは画像としての共有は割愛することにしたい。
さておき、両マニュアルを上から順に見ていくと、全体的な内容の構成、使用されている画像や文言など、随所に酷似している部分ないしは全く同一の部分を見出すことができる。
その時点で既にほぼ “確定” だと言えるのだが、EAに搭載されているパラメーターに関する説明パートにおいて、『Forex Zeon-X Pro』が犯したある一つのケアレスミスの存在は、特に致命的だったと言えるだろう。
『Forex Zeon-X Pro』は、『Forex Kore EA』よりも用意されているパラメーターの種類が少ないのだが、そのパラメーターのほとんどが、『Forex Kore EA』に実装されているものと同じ名称だ。
さらに、各パラメーターの説明文についても両者は完全に一致しており、ロットサイズ管理に関するパラメーター「Lots」に関しても、『Forex Zeon-X Pro』は『Forex Kore EA』と全く同じ説明文を採用している。
そして、『Forex Kore EA』には、「Booster」という名称のパラメーターが用意されており、「Lots」の説明文内においてもその「Booster」との協調動作について言及されているのだが、『Forex Zeon-X Pro』に「Booster」なるパラメーターは搭載されていない。
にもかかわらず、『Forex Zeon-X Pro』のマニュアル内にも、“存在しないはずのパラメーター” である「Booster」に関する一文が、そっくりそのまま残されたままとなっているのだ。
もう少し丁寧な作業を心掛けていれば簡単に防げたはずの凡ミスだと言えるが、この不注意さのおかげで、両EAの間に横たわる “歪んだ関係性” の存在が明るみに出たと言える。
少なくとも、『Forex Zeon-X Pro』の公式ユーザーマニュアルが、『Forex Kore EA』のマニュアルの内容をほとんどそのまま流用したものだという点については、間違いないと言えるだろう。
上記した根拠のどれか一つだけを見たならば、まだ「Forex Zeon-X Proは、Forex Kore EAの開発者によって新たに生み出された別のEA」だと希望的観測に身を委ねることも可能だったかもしれない。
しかしながら、これだけの状況証拠が揃ってしまった今、『Forex Zeon-X Pro』の素性については、『Forex Kore EA』の「焼き直し版」あるいは「機能を簡略化した劣化コピー版」だと結論付けざるを得ないだろう。
公式サイト上に中身のある情報がほとんど存在しない
「公式サイトを通じて、如何に多くの情報をユーザーに開示しようとしているか」という観点は、そのEAの信頼性を評価する上では重要な観点となると言えるが、その観点に立つと、なかなかどうして『Forex Zeon-X Pro』は “秀逸 “であるかのようにみえる” ことだろう。
実際、公式サイト上には細かい記述まで含めれば、優に百行以上にも及ぶ文章が記載されており、単純な情報量としては十分に及第点を与えることも可能なのだ。
しかしながら、その大半はEAの仕様や機能とは直接的に関係のない “雑談” ないし “余談” とでも言うべき内容に終始しており、EAの機能などに言及している “中身のある文章” に至っては、正味で十行にも満たないような有様だ。
また、その部分にしても、同じような内容を別の角度から言い換えたり、似たような言い回しで説明し直したりと、水増し紛いの内容となっていることは前述した通りで、実質的な “中身” はさらに少ない。
一口に情報と言っても、そこには「質」と「量」という異なる観点が存在するが、『Forex Zeon-X Pro』に関して言えば、残念ながらその両方において及第点には程遠いと言えるだろう。
公式サイト上の記述と実際の仕様が異なっている
『Forex Zeon-X Pro』の機能や仕様に関して、公式サイト上から読み取ることのできた情報については既に上述した通りだが、ここでもう一度、確認のために内容を共有しておきたい。
1.悪質なFX会社からユーザーを保護
「Broker Protection Module」と呼ばれる機能により、不利な方向への大きなスリッページやスプレッド、約定遅延などを意図的に引き起こす悪質なFX会社から、ユーザーを保護します。
2.スプレッドによる損失に対する保護機能
現在のスプレッド幅がユーザーが設定した任意の値を上回った場合、『Forex Zeon-X Pro』は取引を実行しなくなります。
3.スリッページによる被害の防止機能
発生したスリッページの大きさが設定した値を上回った場合、また約定の実行時間が設定した値よりも長くなった場合、EAは取引を停止し、あらゆる損失の可能性から証拠金を保護します。
4.資金管理機能
『Forex Zeon-X Pro』は、固定ロット設定での運用に加え、ロットサイズの自動調整機能による変動ロット設定での運用も可能にしています。
また、万が一の場合に備え、EAが取引に使用できる資金の大きさを証拠金に対する割合で指定することが可能です。
おそらく、上記の説明を読んだ人の大半は、「このEAには、スプレッド幅やスリッページ幅、約定時間、最大ドローダウンを制御するためのパラメーターが用意されているらしい」と解釈するものと推察される。
しかしながら、端的に結論を言えば、『Forex Zeon-X Pro』には辛うじてスリッページ幅に関するパラメーターだけは用意されているものの、残りの要素に関するパラメーターは一切用意されていない。
中身のない情報を垂れ流すことも問題ではあるが、「虚偽」あるいはそう捉えられてもおかしくないような情報を堂々と掲げているのは、「信頼性」という観点からすれば遥かに重大な問題だと言えるだろう。
公式フォワードテストの信頼性がほぼ皆無
『Forex Zeon-X Pro』は現在、計五つもの公式フォワードテストの成績を公開しており、通常ならばその事実を高く評価できるところなのだが、流石と言うべきか何と言うべきか、やはりここでも多くの問題点が浮き彫りとなる格好となった。
以下に、今回の調査によって判明した問題点について紹介したいと思う。
未認証なリアル口座 or デモ口座上でフォワードテストを実施
これはほんの “ジャブ” に過ぎないのだが、五つの公式フォワードテストのうち、二つはMyfxbook、残りの三つはFX Blue上において成績が公開されているのだが、前者二つは、世間的に高い評価を得ているMyfxbookの「二段階認証」のどちらもクリアしていない。
何らかのエラーやテストの実行者による意図的な操作などにより、どちらか一方の認証だけが外れてしまうことはままあることだが、流石にどちらの認証も行われていないデータというのは、あまりにも信頼性に欠けると言わざるを得ないだろう。
なお、FX BlueもMyfxbookと同様の認証システムを採用してはいるものの、その信頼性はMyfxbookには及んでいないというのが、現在までの世間一般からの評価だ。
加えて、FX Blue上で公開されている三つのフォワードテストについては、リアル口座ではなくデモ口座上で実行されており、認証システムへの評価の差も相まって、やはりデータとしての信頼性には難があると言えるだろう。
実施期間が短い上に既に更新が停止している
『Forex Zeon-X Pro』の販売はつい最近になって開始されたばかりにもかかわらず、五つの公式フォワードテストうち、既に四つは更新が終了されている状態にあるというのだから、思わず閉口してしまう。
しかも、そのどれもが僅か二ヶ月にも満たない非常に短い期間で終了を迎えており、辛うじて更新の続くものでさえ何とか二ヶ月を超えたばかり。さらには、デモ口座上で実施されているフォワードテストのため、そもそも情報源としての価値は決して高くない。
なお、どんなEAにだって「運用を開始したばかりの時期」というものが存在する以上、フォワードテストの実施期間が短いこと自体はあまり問題ではない。
真に問題なのは、「一ヶ月や二ヶ月程度の非常に短い期間において、誰もが思わず目を奪われるような好成績を叩き出させるや否や、即座にフォワードテストを打ち切ってしまう」というやり口の方にあると言える。
「ごく短期間で達成された凄まじく良好な成績を派手に喧伝する」手法は、古今東西の「SCAM(詐欺商材)」に好まれてきた常套手段の一つであり、その観点から見ても、『Forex Zeon-X Pro』の信頼性については疑って然るべきだろう。
記載されている画像とリンク先とが合致していない
また、公式サイト上に貼られている画像を見る限りでは、すべてのフォワードテストはMyfxbook上で実施されているはずなのだが、赤枠内の三つについては、画像をクリックすると何故かFX Blue上の成績ページに飛ばされてしまう。
一応、公式サイトから読み取れる情報を基にリンク先の成績データを分析してみたところ、上の各画像内にしか存在していないMyfxbook上の成績と、リンク先に公開されているFX Blue上の成績とは、同じフォワードテストの結果を参照しているようだった。
同じフォワードテストの成績を、複数の手段で同時に観測することは別に問題ないと言えるが、素直にMyfxbook上の成績データにリンク先を設定しなかった理由については、理解に苦しむと言える。
運用者プロフィール上に統計データが存在しない
Myfxbook上に公開されているフォワードテスト実施者のプロフィールを確認すると、五つ存在する “はず” のフォワードテストについて、一つたりとも成績データが存在していないことに気が付く。
たった一つだけ、デモ口座上で実施されているフォワードテストの成績が公開されているのだが、その中身は上述した五つとは全く関係のないものとなっている。
Myfxbook上にデータが公開されているにもかかわらず、運用者のプロフィール上から完全に存在が抹消されてしまっている理由については不明だが、いずれにせよ明らかに不自然な状態であることは間違いないだろう。
また、Myfxbookには標準の機能として、公開されている成績データの共有機能が用意されており、各所で利用されている成績データの表示用ウィジェットも、この機能を利用しているものだ。
基本的にこの共有機能は有効化されているのが当たり前なのだが、『Forex Zeon-X Pro』の公式フォワードテストにおいては、何故かこの機能が無効化されてしまっている。
直接的に成績データの信頼性を損なわせるようなことでないとは言え、上述してきた数々の不審な点や問題点を見るに、「出来る限り情報を秘匿したい」という後ろめたい気持ちの表れのように感じられてしまうのも無理からぬことだろう。
口コミやレビューがほとんど存在しない
EAの信頼性を評価する上で、実際に製品を利用したユーザーによる口コミや、第三者によるレビューというものの存在が果たす役割は大きいと言える。
一方、悪意を持った第三者によるサクラ行為や、競合する製品やサービスに対する営業妨害じみた印象操作なども界隈では横行しているため、情報の真贋を慎重に見極める力も求められることとなるが、そもそも口コミやレビューが存在しなければお話にならない。
その観点からすれば、確実に『Forex Zeon-X Pro』は “話にならない側” の存在だと言えるが、口コミやレビューがほとんど存在しない事態は、発売から間もないEAにはしばしば見られるため、現時点でそこまで問題視するほどのことではないとも言える。
とは言うものの、「信頼性を判断するための材料が存在していない」という事実に変わりはなく、発売後まだ間もないという事情を差し引いて考えてたとしても、決して加点要素とはなり得ないだろう。
最長60日間の無条件返金保証を謳っている
『Forex Zeon-X Pro』は、最長60日間の「無条件返金保証」を謳っているのだが、多くのEAが半分の期間、それも条件付きでの保証を提供しているという事実を考えると、この点については素直に高く評価しても良いようにも思われる。
しかしながら、無条件返金保証を掲げるだけならば誰にでも可能であり、だと言えるだろう。真に重要視すべきは保証期間の長さや条件の内容よりも、「公約通りに返金対応が実行されるかどうか」
その意味において言えば『Forex Zeon-X Pro』の信頼性は非常に低いと言わざるを得ず、この返金保証についても、“薄氷の上に建つ豪邸” のようなものだと言え、あまり手放しに信頼するのは危険なようにも思われる。
流石に些か穿ち過ぎな気もしないでもないが、『Forex Zeon-X Pro』から溢れんばかりに滲み出る怪しさを思えば、警戒し過ぎるということはないだろう。
『Forex Zeon-X Pro』の総評
ここまで様々な観点から『Forex Zeon-X Pro』について評価してきたが、残念ながら明らかになったその素性は決して信頼に値するものではなく、胸を張って誰かに推薦できるようなものでもなかった。
今回は、『Forex Zeon-X Pro』から打診を受けたことを切っ掛けにレビューを行ったが、逆に良くここまで怪しさをあからさまにしたまま接触を図ってきたものだと、かえって感心してしまうほどだ。
唯一、最長60日間の無条件返金保証を提供している点についてのみ、プラス評価を与えることができるものの、上述の怪しさと胡散臭さが大きく足を引っ張り、下手をするとかえって警戒心を煽りかねない要素となってしまっている点は、まさに自業自得と言うべきだろう。
公開されているフォワードテスト成績において他の追随を許さないほどに凄まじい収益性を実現していただけに、仮にもう少しまともな信頼性の感じられる製品だったならば、と思わずにはいられない。
とは言うものの、その公開されている成績に関しても、目立った損失の形跡はなく通算利益も「1,000%」程度しかないのに平均月利が「4,000%」を超えていたりと、不審な点は幾つも見られるため、やはりあまり残念がる必要はないと言えそうだ。
なお、幸か不幸か『Forex Zeon-X Pro』は、絵に描いたように「胡散臭いEA」だったから良かったものの、世の中にはもっと巧妙なやり口で善良な人々の目を欺こうとしてくる悪質な製品も数多く存在している。
今回のレビューによって、そういった悪辣な罠の被害に遭う人が一人でも減ったならば、これに勝る喜びはない。
ランキングに参加しています。応援よろしくお願いします。