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EAポートフォリオとは? 組み方と考え方について【後編】

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EAポートフォリオとは? 組み方と考え方について【前編】

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前編では、「EAポートフォリオ」に関する基礎知識を中心に解説したが、この後編では、実際にポートフォリオを組むにあたって大事な考え方や観点について、紹介していく。

では早速、今回の本題に移りたいと思う。

 

 

 

EAポートフォリオの組み方と考え方

実は、EAポートフォリオを組むこと自体は、何ら難しいことではない。ただ、「二つ以上の異なるEAを同時に運用するだけ」で、既に簡単なポートフォリオは完成だ。

ただし、前編で解説した理由からも分かるように、何の考えもなしに組み上げたポートフォリオで、望んだような結果を引き出すことができる可能性は決して高くはないだろう。

 

本当に難しいのは、「ポートフォリオを適切に組み上げること」 に他ならないのだが、何を以て “適切” とするかについても、多様な観点と様々な考え方が存在していることが、“理想的なEAポートフォリオ” の作成を難しくしている要因の一つだと言える。

ここでは、ポートフォリオ作成において重要視される観点や考え方について、代表的なものを幾つか紹介したいと思う。

 

相関性の低いEA同士を組み合わせる

EAポートフォリオにおいては「相関性」という考え方があり、ポジションを建てるタイミングや決済するタイミング、損益やポジション数など、EAの動作や成績に関わる要素同士の相関性が低くなるようにEAを組み合わせることが、ポートフォリオ作成の基本となる。

つまり、EA①とEA②が、いつも同じようなタイミングでポジションを建て、同じように決済し、取引の勝敗もだいたい同じというような場合には、「このEA同士の相関性は高い」と言える訳だ。

 

相関性が高いEA同士でポートフォリオを組むと、複数のEAが同時に損失を出す恐れが大きくなるため、相関性の低いEA同士でポートフォリオを組み、リスクの分散を図るのが一般的だと言える。

なお、EA同士の相関性を検証するには、バックテストのデータと検証用ツールを用いる方法があるが、本筋から逸れてしまうため、その詳細については別の機会に解説したい。

 

運用する通貨ペア同士の相関性を考慮する

EA同士の間に相関性があるように、通貨ペア間にも相関性は存在する。「豪ドル/円(AUDJPY)」と「NZドル/円(NZDJPY)」などは、相関性の高い通貨ペアの代表格だろう。

 

相関性の高い通貨ペアばかりを取引していると、調子の良い時はそれでも問題はないだろうが、相場が一転して不利な方向に傾いた場合に、被る損失がにわかに膨れ上がる危険性が高くなってしまう

「相関性の低いEA同士を組み合わせる」というのと同じく、「相関性の低い通貨ペアを運用してリスク分散を図る」というのも、EAポートフォリオおける基本的な考え方の一つだと言える。

 

ちなみに、通貨ペア同士の相関性については、一部のFX会社などが公開しているため、検索すれば簡単に確認することができるはずだ。

 

特徴や強みの異なるEA同士を組み合わせる

トレンド相場とレンジ相場のどちらに強いか、基本ロジックは順張りと逆張りのどちらか、取引手法はスキャルピングなのかデイトレードなのか、あるいはスイングトレードなのか。

ざっと挙げただけでも、EAの特徴に係る要素はこれだけ存在しており、使用する時間足や取引アルゴリズム、実装されているインジケーターの系統などまでを考慮に入れると、実際にはかなり細分化される。

 

とは言え、大きな括りでEAを分類することは可能なため、その大まかな分類に基づいて、ロジックの異なるEA同士を組み合わせることも、EAポートフォリオを組む上で、リスク分散を図る基本的な手法の一つとなっている。

各EAのロジックがそれぞれに異なっていれば、仮に相場の変動に巻き込まれて、一つのEAが調子を崩したとしても、他のEA群がその損失を補うことも可能だろう。

 

平均利益や平均損失、取引頻度などを加味して調整する

ポートフォリオを組むにあたっては、各EAごとに異なる平均利益や平均損失、取引頻度などの差についても考慮して、EAのパラメーターを調整する必要がある

 

例えば、『1日に3回、平均利益「50pips」の取引を実行するEA』と、『1週間に1回、平均利益「200pips」の取引を実行するEA』とで、何の調整もなしにポートフォリオを組んだ場合、システム全体の成績が、前者の成績ばかりに大きく依存してしまうことは明らかだろう。

そのため、一定期間を通じて見た時に、各EA間で獲得利益に明らかな偏りが生じないように、それぞれのEAについてロット数を適切に調整することが求められる

 

なお、EAによってストップロス(SL)やテイクプロフィット(TP)の設定は異なるため、ロット数を決定する際には、その点も考慮に入れることを忘れないようにしてほしい。

 

最大ドローダウンを低く抑えることを優先する

「最大ドローダウンさえ更新されなければ、システムは破綻しない」という非常にシンプルな考え方に基づいて、しばしばポートフォリオは組まれることがある。

 

なお、そのポートフォリオの最大ドローダウンが、どのくらいの大きさになるかについては、バックテストと専用のツールなどを利用することで検証することが可能だ。

ただし、あくまでも検証で得られる結果は、すべて過去のデータに基づいたものであるため、将来の相場次第では、最大ドローダウンが更新されてしまうことも、残念ながら十分にあり得るだろう。

 

そうである以上、最大ドローダウンの期待値ばかりを過信したりはせずに、上記の観点や要素と上手く兼ね合いを取るように、全体のバランスを調整するようにした方が良さそうだ。

 

安全性よりも、収益性や資金効率を優先する

EAによるポートフォリオを組むメリットの最たるものは、「リスク分散を図る」ことにあると前述したが、ポートフォリオの組み方の中には、「あえてリスクを集中させる」という手法もある

つまりは、「相関性の高いEAや通貨ペア、似通ったロジックなどを積極的に組み込むことで、よりハイリスクで、よりハイリターンの期待できるポートフォリオに仕上げる」という考え方だ。

 

「コツコツドカン」という言葉が、ネガティブな意味で広く定着している現状が証明しているように、堅実で低リスクなシステムが、必ずしも長く勝ち続けられるとは限らない。

身も蓋もない言い方かもしれないが、どんなシステムだろうとも勝つ時は勝つし、負ける時は負けるということだ。

 

そう考えると、「勝てる時に可能な限り大きな勝ちを拾い、大敗を喫するまでに速やかに元手を回収してしまおう」という考え方は、「リスク分散」とはまた別の理に適っていると言えるだろう。

ただし、相応のリスクを背負う覚悟がなければ、この組み方は避けておいた方が良いと思われる。

 

 

まとめ

前編と後編に分けてまで長々と講釈を垂れてしまったが、EAポートフォリオに関する基礎的な知識や基本的な考え方については、理解してもらえただろうか。

 

悲しい話ではあるが、「何をしようとも勝つ時は勝つし、負ける時は負ける」というのが、詰まるところ投資における究極の真実なのかもしれない。

しかしながら、それでも適切に組み上げたポートフォリオを運用することで、勝てる可能性を少しでも高め、負ける恐れを少しでも小さくし、利益を得られる期間を少しでも長くすることは、間違いなく可能なはずだ。

 

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があるが、自らの意志と努力で望んだ結果を手繰り寄せたいならば、EAポートフォリオの作成に挑戦してみると良いだろう。

 

 

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